241)作詩と作詞
文それ単体で成立するものが「詩」で、文が音楽と合わさることで成立するものが「詞」。これが「し」の漢字に対するぼくの認識であった。あった、というのは、古い流行歌謡曲の楽譜を整理していて、「作詩」と書かれてたものを多く目にしたからだ。
統計を取った訳ではないが、昭和2、30年あたりまでは「作詩」という言葉が使われ、それ以降は「作詞」が使われている印象がある。詩/詞の歴史は知らないが、作詞の方は比較的新しい言葉なのかも知れない。
拙文の「楳図かずお『別世界』における楽譜のアナリーゼ」にて、「1975年に自ら作詩・作曲、歌唱を行なったLP『闇のアルバム』を発表した。」と書いた。ここを作詩としたのは、楳図は作詞ではなく作詩という言葉を好んで使っていたからで、つまり、楳図独特の使い方だと思っていたのだ。
しかし、字面は作詞よりも作詩の方がかっこいい。
2022-11-16