267)フィールド・レコーディング(7)
5月26日、晴れ。金沢市民芸術村石彫場。前回の続きとして、ベリンガーのB-5を使い、無指向性と指向性を切り替えてAB録音を試みる。また、同時にDR-40XのAB方式でも録音した。
この日は石彫をしている人がいた。また芸術村は北陸本線に隣接しているので、石彫だけではなく、電車の走行音(おそらく特急サンダーバード)も録ることもできた。
まず、無指向性で録音する。B-5は全方位が自然なステレオで聞こえる。一方DR-40Xは、音が左右に分割されようにステレオ感が強く聞こえる(鳥の鳴き声が分かりやすい)。また、背後に走る電車に着目すると、無指向性の方が繊細で豊かな音に聞こえるが、単一指向性の方はどこか荒れて聞こえる。これは、単一指向性は、正面以外で拾った音の特性が乱れるからだ。
次は、単一指向性に切り替えて録音する。後方に録りたい音がないのであれば、単一指向性によるAB方式も使えそうだが、それならXY方式でいい気がする。そして、やはりDR-40XのAB方式はかなりステレオ感が強い。今回のように、ノミを打つ音、鳥のさえずり、そして風の音だけだと、やはりB-5の方が豊かで繊細な音に録れた。
総評すると、無指向性マイクによるAB方式は自然なステレオ感が得られ、また安定した録音ができた。なぜなら、指向性ではなく音の音量差と時間差のみでステレオ感を生み出しているからだ。そしてまた、DR-40Xが優秀であることも改めて分かった。もちろん、しっかりとしたマイクには2、3歩届かないが、マイクのセッティングが難しかったりいいマイクを使いたくない場面では重宝する。
ある程度機材が揃い、セッティングの使い分けも分かってきた。というわけで、時間を作って能登半島にフィールド・レコーディングをしに行きたい。そして、機会があればフィールド・レコーディングした作品を頒布したい。
2023-05-30