265)対話型AIについての所感
ここ数ヶ月で本サイトへの被リンク数が60件以上増加した。リンク元を辿るとほぼ全てのページがアクセスできなかった。特徴として、トップレベルドメイン(.jpや.com)の種類が多岐に渡っており、またディレクトリに/pickup/という文字列が含まれている。推測でしかないが、これらはAIの学習に使うサイトのリンクをまとめたデータベースで、設定ミスでこちら側に公開してしまったのではないか。
さて、chatGPT、Bing AI、Bardなど、対話型AIが部分的に実用レベルに達したとして話題になっている。ぼくもプログラミングで調べ物がある時には、検索エンジンで検索するだけではなく、対話型AIを利用する場合がある。つまり、従来の単語による検索エンジンの代替手段として、自然言語による検索インターフェースとして利用している形だ。使い方や目的にもよるが、かなり便利である。
対話型AIは便利だが、いくつかの問題を抱えている。たとえば、回答の質が分からないことだ。使用者がある程度知識を持っている事象であればいいが、そうでない場合にその質を判断することは不可能に近い。加えて著作権もかなり怪しい。法的には問題ない、と言い張っているが、実際は引用によるほぼコピペという結果も少なくはない。そして、一番の問題はAIが搾取構造で成立していることだ。
冷静に考えると、AIの回答は情報のタダ乗りに近い、というかタダ乗りである。前述した通り、対話側AIは誰かの情報をもとに推論し答えを出力する。つまり、対話というインターフェースを通して特定の誰かの意見を聞いているだけの可能性がある。そして、AIを通して出力されたものはあら不思議、著作権がなくなる。情報とそれを公開する労働力を搾取しているのだ。
ここで冒頭で書いた被リンク数の増加の話に戻る。この現象は、AI系のスタートアップ企業が大量に作られまた存在してることを表しているのではないか。さらに、/pickup/という共通したディレクトリ名から、出資者が同一である可能性も捨てきれない(同じプログラムを使って収集されているだけかも知れない)。こうして作られた企業のどれか一つが成功すればそれで出資者の目的は達成されるのだろう。さながら武器商人である。
しかし、少し前まで仮想通貨やNFTを推していたインフルエンサーがこぞってAIに鞍替えしているのはかなり気持ち悪い。というか、肝心のAI研究者ですらネオリベ全開の胡散臭いやつらばっかりで辟易させられる。
2023-05-10