257)フィールド・レコーディング(2)
3月3日、曇。能登町九十九湾にイカキングと呼ばれる巨大なイカのオブジェが設置されている。地方創生臨時交付金(コロナ交付金)を使って作られたイカキングは、意味が分からなさすぎて、観光客が増えたという。というわけで今回のフィールド・レコーディングの舞台は、能登町の九十九湾と真脇遺跡に決めた。
道中、七尾の別所岳サービスエリアによる。「能登ゆめてらす」という七尾湾が一望できる展望台が設置されていて、天気がいい日は立山が見えるという。どのような音が聴こえるのか楽しみだったが、冬季は閉鎖とのこと。その代わり、なのかは分からないがヤギがいた。小屋にこもっていたが、声をかけると出てきてくれた。
金沢から車を走らせること約2時間、ようやくイカキングに出迎えてもらえた。もっと大きいと思っていたので少し肩透かしを食らう。そして、現物を見たとてやはり意味が分からなかった。面白いのはほんの一瞬だろう。道の駅には、レストランが併設されていてイカを使った料理が食べられる。でも、なんだか萎えてしまったので何も食べずに九十九湾遊歩道に向かった。
九十九湾遊歩道は、のと海洋ふれあいセンターを囲む海岸線にある遊歩道である。ただし、岬をぐるっと一周できるように海上に飛び石が設置されている珍しい遊歩道だ。この日は強風ということで一部しか開放されておらず残念だったが、この時の天気はよかった。海は透明で輝いているし、奥にはうっすら立山連峰も見える。
干潮の時間帯だったからか、岩を積み重ねて作られた足場の先端に行くことができた。ここにダミーヘッドマイクを設置して録音してみたが、ほぼ海上なので風切り音ばかりで全然だめだった。ヘッドホンを改造してウインドジャマーを作ろうと思う。
真脇遺跡は、のと海洋ふれあいセンターから車で約10分の場所にある。だだっ広い広場に環状木柱列だけが目立って存在する。この木柱列の中心で録音を試みたが、特に変わった音は録れなかった。しかし同時に、ただそこにある音風景を録ればよい、ということも分かってきたので収穫は大きい。
なお、すぐ側には博物館である真脇遺跡縄文館があったが、既に夕方になりかけだったので今回は見送った。その代わり、併設されている真脇ポーレポーレという宿泊施設の温泉に入って帰路についた。
2023-03-10