231)学歴で心は救えない
「学歴の暴力」という地下アイドルグループを知った。東大、京大、名大の高学歴の3人から構成されているため、「学歴の暴力」と名乗っているようだ。しかし、「高学歴」がコンセプトとして成立するには、その場(地下アイドル)が低学歴の集まりである、という認識が前提条件となる。
問題は、学歴を承認の装置として使っていることではない。自身に批判的なコメントをした他者に対し、執拗に攻撃を加えていることだ。それもファン(取り巻き)を扇動し、自身に責任はないとする最も卑劣なものである。自身を矮小化するその姿は、アーレントがエルサレムで見たアイヒマンに重なる。大学で一体何を学んできたのだろうか、と思う。
この件は、勉強して東大に入ったとしても心までは救われないことを表している。これは、就職氷河期世代の問題と類似する。彼らに単に職や金を渡したところで、心まで救うことはできないだろう。なぜなら、社会全体から見た中での役割が依然として存在しないからだ。そして、その役割を虐げてきたであろう社会側が何かしらを提示したところで、いまさら受容できるものなのだろうか。
話を戻す。学歴やSNSで承認を満たすために、他者に攻撃を加えたところで、何も残らないどころか、禍根を残すだけであることに気がつくべきだ。しかも、その禍根がキャンセル・カルチャーとなっていつ返ってくるかも分からない。反論があるのであれば、論文を書いて研究業績をあげるかアイドルとしての創作活動で表現してください。
2022-08-24