厳しい科目について
開講されている科目の中には、レポートが中々通らない厳しい科目がいくつかあります。伝統的に厳しいと言われる科目をいくつか紹介します。なお、音楽学科以外ことは分かりません。しかし、ここで紹介する科目は、しっかりと準備しておけば恐いものではありません。まず、シラバスを読んで、レポートに求められているものを把握します。そして、適宜図版を用いたり、多くの文献に当たってください。
厳しいレポートは、それだけしっかり添削されている、ということです。意地悪で落としている訳ではないので、そこは理解してください。そして、余裕をもって、少なくとも3年次の前半には提出してください。ギリギリに提出したせいで卒業が遅れてしまう人が少なくないと聞きます。
アートプランニング
アートプランニングは、共通専門科目で全学科の正科生が受講する必須科目です。特に第2課題は、5回6回と再提出することも珍しくないと聞きます。理由は、要求されているものが、レポート/報告ではなく、アクションプラン/企画だからです。
アートプランニングは、谷先生と宮地先生から選択して履修登録します。両方登録することもできますが、レポート提出及び単位認定はどちらか一方になります。また、どちらが簡単とかありませんので、自分に合っていると思う方を選択します。
傾向として、谷先生はアートに対する哲学や情念面を評価し、宮地先生はその時のトレンドや収支など実務面を評価する、ような気がします。なお、谷先生いわく、宮地先生のレポートも最終的に谷先生が評価するようです。
筆者が提出したレポートは、『あなたの曲の演奏会〜作曲体験ワークショップ』という全12ページの企画書です。目次を転記すると次のとおりです。かなりのページ数がありますが、1ページまるまるグラフや表というのも少なくありません。
- 企画概要...2
- 規格目的...4
- 市場調査・分析...4
- 企画コンセプト・ターゲット...4
- 参加者の目標と演奏者について...5
- プログラム...6
- スケジュール...7
- 収支計画...8
- 参考資料...9
- 講義資料...12
前述したとおり、第2課題で提出するのは「企画書」です。何度も落ちる人は、企画書の書き方を調べてみてください。
和声法2
和声法2は、下石坂先生が担当します。筆者は下石坂先生が着任して1回目の授業を受けましたが、非常に細かく添削されていました。単に禁則の有無だけではなく、ソプラノの動きからバス、テノール間の直行8度もチェックされ、禁則が無くとも音楽的によくない場合は不可になります。
和声法2は、和声法1の延長線上です。和声法1を理解していないと和声法2は分かりません。算数で一次関数がわからないのに二次関数だけ分かる、英語でSVが分からないのにSVOCだけ分かる、ということがないのと同じです。したがって、和声法2が難しいと感じたなら、和声法1から勉強し直すのが一番の近道です。
また、和声法2は試験科目です。内容も簡単な訳ではなく、何度も落ち続けている人もいます。試験問題は3、4パターンあって、バス課題とソプラノ課題がそれぞれあります。手元にある自作した解答を見てみると、バス課題、ソプラノ課題ともにいくつかの借用和音と近親転調が含まれていました。
数年前に下石坂先生と話した時は、今は昔ほど厳しくやっていない、とおっしゃってましたが、実際は知りません。とにかく和声法は頭だけではなく、体で覚える部分もあると思います。試験のことを考えて、早めに対策した方がいいです。
西洋音楽の歴史と理論
前川陽郁先生が担当する西洋音楽の歴史と理論は、厳しいと言われています。というのも、取り上げた曲をただ詳しくまとめただけでは評価されないからです。その曲が前時代までとどう違うのか、同時代での立場はどうだったのか、そして、同時代やその後にどのような影響を与えたのか、など広い視野が求められます。また、独自研究に偏りすぎないように、多くの文献にあたることがコツと言われています。
ちなみに、本サイトのコラム「J.S.バッハ《インヴェンション》第1番の構造と分析」は、レポートの断片です。レポートでは、コラムで触れてない視点や実際のインヴェンションを作曲してみて、そこから分かったことも書いています。ようするに、十分に準備した上で時間をかけて書きました。
噂で難しいと聞いた科目
ここからは、噂で難しいと聞いたことがある科目を紹介します。なぜ噂かというと、筆者に難しいという認識がないまま単位認定されてしまったからです(成績が良かったとはいいません)。しかし、内容的には決して簡単ではなく、音楽以外の学問や異文化といった視点から対象を見る必要があります。なので、筆者は気合を入れて書いただけで、すらすら書けた訳ではありませんので安心してください。
20世紀の音楽
卒業になってもレポートが通らず、事務局に泣きついた、という話を聞いたことがあります。筆者の時は、第1課題が徳備先生で第2課題が坂本先生で厳しいという印象がないまま単位認定されました。現在は大政先生という作曲家の方が着任されているようです。譜例を多く用意するだけではなく、作曲家や楽曲をとりまく環境面からも切り込むといいと思います。
音と芸術
芹澤秀近先生が担当です。優秀な同級生が何度書いても通らない、と嘆いていました。音響がテーマになっており、感覚的ではなく数理的な事実に基づいたレポートが求められています。数理的といっても、実際に声を出してみた、論音して波形を見てみた、といった簡単な実験で大丈夫です。以前は手書きレポートのみ受付でしたが、今はパソコンで作成しWEB上で提出するようです。
人間と音楽
以前は、アートプランニング並に厳しかったと聞きます。学習支援システムの補助教材に人間と音楽のQ&Aが公開されているので目を通してください。厳しさの痕跡が見て伺えます。筆者の時は、石上先生と泉川先生に切り替わった瞬間でしたので、問題なく単位認定されましたが、それはドタバタしている時だったからかも知れません。学習指導書を見る限り、厳格なレポートが要求されています。
資格課程の科目について
資格課程の科目は、比較的厳しいものが多いです。というのも、事実や現場に即した内容が求められるからです。また、レポートはやさしいのに試験は厳しい、という科目もあります。教職課程は比較的やさしかった記憶がありますが、学芸員と司書は厳しい課題があります。
日本国憲法(教職)
レポートはさして難しくありませんが、試験が大変だった記憶があります。というのも、テキストの内容を丸暗記するだけでは不可になります。有名な判例や具体例をあげて論述しなければなりません。
博物館資料保存論(学芸員)
保存に係る処理について、テキストに書かれていることを「自分の言葉で」2,500〜3,600字程度に要約するだけです。だけなんですが、情報を文字数に収めるだけでも大変で、要約する中で必要な情報が欠落した場合は再提出になります。無駄な装飾を省いた引き締まったレポート(報告書)を書く必要があります。
情報サービス論(司書)
非常に細かく添削されます。司書は似た専門用語が非常に多く、あいまいに使うと全て指摘されます。筆者は再提出する前に卒業してしまいました。司書課程に関しては、他のレポート含め、具体的に何を見ているのかよく分かないものが多かったです。(司書を民主主義の英雄と褒め奉る?)