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金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


283)フィールド・レコーディング(11)

9月3日、晴。セールで無指向性マイクのAT4022(Audio-Technica)を購入したので、同じく無指向性マイクのB-5(Beringer)と比較してみた。結論から言うと、AT4022の方が圧倒的によい。しかし、B-5がダメな訳ではなく、使い勝手や価格を考慮すると、十分評価できるマイクだ。

両者の性能を比較するため、三つの環境で録音した。一つ目は中央公園で開催されていたオクトーバーフェストで喧騒な環境。二つ目は東山奥の観音院坂で虫の声が持続する環境。三つ目は金沢駅前の此花町緑地で街中にありながら比較的静かな環境。

AT4022とB-5は同時録音ではないが、設定を48kHzの32bitで80Hzのローカットにして録音した。音源は、断りが無い限り一切調整していおらず、最後の音域の比較時のみノーマライズした。

【金沢オクトーバーフェスト】

いしかわ四高記念公園(中央公園)で行われていたドイツビールの祭典、金沢オクトーバーフェスト。人も多くスピーカーから音楽が流れていた。ライヴができるステージの真正面、公園備え付けのコンクリートのブロックベンチから録音する。

オクトーバーフェスト - B-5
オクトーバーフェスト - AT4022
【観音院坂(女坂)】

ひがし茶屋街の奥、卯辰山にある長谷山観音院に繋がる観音院坂。観音院坂は、古くからある男坂と後年になって作られた女坂の二つがある。今回は女坂の中程、木のトンネルになった場所で録音する。左右前後そして上から虫の声が連続的かつ持続的に鳴り響く。

観音院坂(女坂) - B-5
観音院坂(女坂) - AT4022
【此花町緑地を東大通り側から】

金沢駅の東口すぐにある大きな公園此花町緑地。写真右に写っている施設の玄関から録音する。少し離れた草木から聞こえる虫の声、遠くから聞こえてくる室外機と車の走行音。室外機は東大通り沿いにあるラーメン屋「達」の室外機だった。

此花町緑地 - B-5
此花町緑地 - AT4022

最後に前述の此花町緑地をノーマライズして音量を上げたものを比較する。

此花町緑地(ノーマライズ済) - B-5
此花町緑地(ノーマライズ済) - AT4022

B-5とAT4022の音を聴き比べると、三つの違いに気がつく。音量レベル、音の明瞭度、音域の豊かさ、である。

まず、音量レベルの違いだ。すべての音源でAT4022の方が音が大きく録れているのが分かる。これは感度の違いからくるものだろう。B-5の感度が-38dBに対し、AT4022は-34dBと感度に4dBの差がある。

つぎに、音の輪郭、といえばいいのか明瞭度の違いだ。B-5よりもAT4022の方がより明瞭だ。たとえば、オクトーバーフェストではBGMが流れる中での会話がはっきりと聞き取れるし、観音院坂ではAT4022の方が虫の声が聞き取りやすい(鳴いている虫が違うのもあるが)。

最後は、音域の豊かさの違いだ。ノーマライズした音を聞いてみると、B-5は高音域が目立ち中低域が軽く聞こえるが、AT4022は中低域含んだ全体がしっかりと聞こえる。これは、感度だけではなく、SN比や音域の特性も影響してそうだ(SN比は、b-5が76dBでAT4022が78dB以上なので2dB以上の差がある)。

以上、B-5とAT4022の比較をしてきた。性能面ではAT4022に軍配があがるが、B-5も極端に性能が劣る訳ではなかった。B-5はカプセルを交換することで単一指向性/無指向性の切り替えができるし、なんといっても安い。B-5はAmazonのセールで1本で8,800円で購入したが、AT4022はsound houseで一本39,800円もする。少し危険な所や荷物を軽くしたい場合は、積極的にB-5を使っていきたい。

2023-09-12