198)リュートの衰退とギターの隆盛
ぼくは、ルネサンス・リュートを持っているので、一言いってもいいだろう。まず、竹内さんの言っていることは間違ってない、と思う。思う、としたのは古楽も楽器学も専門じゃないからだ。ただ、竹内さんの表現が分かりにくいのもまた事実だろう。
まず、リュートとギターに連続性はない。つまり、2つの楽器の衰退/隆盛に相関はない、ということを先に伝えておく。
NHK側の言い分は知らないが、気の毒だと思う。しかし、リュートが弾かれなくなった理由として、この説明は分かりにくいし、少しずれている印象を受ける。これだと、室内楽における通奏低音が廃れた理由であって、それでなぜリュートが廃れたのか分からないからだ。この説明で伝わるのであれば、わざわざ竹内さんに聞かない。
Eテレが求めていたのは、なぜリュートが衰退し、代わりにギターが隆盛したのか、というものだろう。弦の本数や頑丈さといったメンテナンスのしやすさ、また製造コストいった外的要因も楽器の衰退理由としては十分に満たすものだ。しかし、それをギターが隆盛したことに意図的に結びつけるのであれば、それはどうかと思う(繰り返しになるが、NHK側の言い分は知らない)。
はるか昔、竹内さんにリュートに関する質問メールを送ったことを思い出した。ご本人に自覚があるのか分からないが、こちらの階級といった属性を非常に気にする人だった。
2022-01-16