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金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


176)ゲーム音楽は虐げられてない

ゲーム音楽は昔から虐げられてきた歴史がある、というエピソードがある。このエピソードは昔から耳にするものだが、なるほど、どことなくそんな雰囲気はあるが、それって本当だろうか。そもそも論になるんだけど、一体誰に虐げられたのだろうか。もし、興味ない人に勧めて拒否されたのなら至極当然で、音楽なんてそんなもんだろう。好きなものをアピールすることと、それが他人から認められるかどうかは全く別の話だ。

個人的な印象を述べると、ゲーム音楽は虐げられるどころか、それなりに評価されてきたと思う。たとえば、コンサートの演奏回数に関して、ここ20年くらい武満徹よりもすぎやまこういちの方が多い、と言われても全く驚かない。もうすこし遡って、ビデオゲーム黎明期(?)の80年代を見てみると、この時代からしてすでに楽譜やレコードが多く販売されていたし、90年代に入ると難波弘之や羽田健太郎、服部克久・隆之といった一流の音楽家たちが、ライブ/コンサート用の交響組曲に編曲することも珍しい光景ではなかったと思う。

まあ、何が言いたいかというと、音楽なんて好きな人が聞いていればそれでいいんじゃない、ってこと。

ちなみ、ぼくがゲームで一番印象に残っている音楽として、PC-9801の『黄金の羅針盤――翔洋丸桑港航路殺人事件』(1990)がある。ミステリーゲームなのだが、その冒頭で流れたバッハの《音楽の捧げもの》の「無窮カノン」をきいて、こんなかっこいい曲があるのか、と感動したのを覚えてる。ただし、この時点で無限カノンの仕組みに気がついているはずもなかった。

2021-07-30