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金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


67)代替医療と洗脳

追記(23/06/22):K氏が城北病院の緩和ケア病棟で息を引き取った(「やるせない気持ち」)。3年くらい前の話だ。なぜ「くらい」と時期が曖昧なのかと言えば、亡くなったことが隠蔽されていたからだ。では、なぜ亡くなったことを知ったかというと、Facebookの誕生日コメントの書き込みである。

K氏のパートナーやその友人は、「いぇ〜い、また飲みに行こうぜぇ〜」「K〜!誕生日おめでとう!今後もよろしくね〜」などとコメントしており、他のコメントも似たようなものであった。しかし、その中に「あなたから勇気を頂くことができました、あちらでもお元気で」「ご冥福をお祈りいたします」という書き込みが数件混ざっており、察した。K氏はすでに亡くなっているのだと。

そして1年くらい前、追い打ちをかけるかのようにK氏のFacebookが突然削除された。ページが残っていると都合が悪いのか、関係者の仕業だろう。まるで証拠隠滅のような所業は、オウムの坂本堤弁護士一家殺害事件を彷彿とさせる。


がんに罹った知人(以下、K氏)がいる。がんが発覚した時はステージ2であったが、現在はステージ4いわゆる末期がんである。もはや体は思ったように動かず、車の運転もできない状態にあるという。だがK氏は、がんに罹ったことで様々な気づきが表出され、ゆえに自分は生まれ変われた、とがんに感謝している。なんというか、なによりもまず悲しいし残念である、そして強い怒りがこみ上げてくる。

この怒りは、K氏が標準医療を一切受けず、代替医療のみを実践させられたことに起因している。というのも、本来であれば大学病院でがんの三大治療を受けるはずであったが、左翼活動家(いしかわ勝手連)の鶴の一声で、代替医療のみによる治療を選択したというからだ(なんでも温泉に入ることでがんを治療するいうもので、過酷であろう三大治療に対する悪魔の囁きである)。しかし、いくら代替医療を選択したといっても、がんに感謝する、という事象は常識的に考えて起こりえないしおかしいだろう。だが、もしそう思い込むよう洗脳されていたとすれば話は別である。それはK氏が熱心に活動していた「倫理法人会」とそのアウトリーチが関係している。

「倫理法人会(以下、法人会)」とは、起業家や事業主を中心とした会員向けにセミナーや講演会を定期開催している団体である(会費はなんと月1万円!)。会員には、先述の左翼活動家だけではなく、金沢市長の山野義之、金沢市議の田中美絵子、衆議院議員の馳浩といった大物政治家も確認されている。大物もいることから普通の団体に感じるかもしれないがトンデモない。「法人会」のやばさは反証可能性を捨象したスピリチュアルかつ宗教的性格を帯びていること、ついで「日本会議」の実質的な下部組織であることを隠蔽(!)して活動しているところにある。

「法人会」に入会している会員の大半がすでに洗脳済みではないか、と僕は想定している。というのも、倫理法人会のセミナーで取り上げる主題は非常に胡散臭いかつ程度が低いものばかりであり、一般的観点からみても会費と見合わないからだ(セミナー等の内容については各都道府県の倫理法人会公式サイトを参照されたい)。すなわち、参加の意思決定が下された時点で、正常な判断ができていないと考えて問題ないだろう。だとすれば「法人会」とは別に洗脳する場もまた別に存在しているということである。その場こそが「異業種交流会」や「朝活」といったアウトリーチである。

「法人会」はアウトリーチとして、「異業種交流会」や「朝活」といったフランクで気軽に参加できるイベントを開催している。これらのイベントは金沢市において隆盛を極めており、「法人会」のみならず、後述する「親鸞会」や「統一協会」が背後にあるものも多々ある(それだけ市場競争が激しいことを表している)。その目的は主として〈学び〉をキーワードにQOL(quality of life)の向上に取り組もうというもので、いわゆる〈自己啓発〉である。そして〈自己啓発〉の真の目的は洗脳にあると断言するので、その具体例と論拠をつぎに示したい。

およそ〈自己啓発〉とよばれるものは、どの主題であろうと大なり小なりコヴィーの『7つの習慣』に依拠している。当書を端的かつ本質に迫って説明すれば、「当面の問題を受容し、自身の変容によってそれを解決せよ」という教示になるだろう。さらに現実に即して換言すると、本来社会が抱えてるであろう様々な問題を、個人へと収斂させその責任を転嫁する、というものであり到底受け入れられるものではない。この本質に気がつけば、なぜ現代社会や企業が『7つの習慣』を強く推す理由がよく分かると思う。今の社会制度を変えられては困るのだ。つまり、現状変革の運動を抑制するのである(同時にネグリ=ハートの〈帝国〉における管理(秩序を内面化させる脱中心的な管理)の拡大でもある)。

一方で、〈自己啓発〉によって救われたという人もいるのではないか、末期がんのK氏も心が救われたのではないか、という意見もあると思われる。しかし、その意見もまたすでに洗脳が完了した(しつつある)ことを表しているほかならない。なぜなら、そちら側(救われること)など最初から存在しないからである。ある仕組みの中で演出された救いを享受されられているだけであり、がんへの感謝という事象がまさにそれであろう。そして、その実践という名の宣言は、伝播する中で希望へと変質し、協賛者(=犠牲者)を増やし、悪徳業者の私腹をこやさせる、という循環システムを成立させるのである。本人が幸せならいいじゃないか、では済まない社会的な問題であり、その先に待っているのは渡邉美樹(ブラック企業)であり船瀬俊介(ニセ科学)であり内海聡(偽医療)である。このようなものに加担することは決して許されるものではない。

その後のK氏について少し触れておこう。K氏はいよいよ事態の深刻さを理解したのか、別の治療を受ける決心をしたようである。ただし、特定の地域でしか受けられない治療法(粒子線治療ではなさそうだ)とのことで、それが先端医療なのかあるいはまた代替医療なのか、不安感は依然として残ったままである(陽子線治療であることが分かった。詳細は追記に)。是非ともK氏には元気になっていただき、また話をしたいものだ。

さて、今回はなぜこんな話題を本ブログに書いたというと、許せないという感情だけではない(もちろんとても強い)。他人事ではないアクチュアルな問題を孕んでいるからである。僕は地元のシンガーソングライターやDTMerといった音楽家と殆ど接点を持っていない。その理由はこれまで述べてきたことと共通点が多数見受けられるものであり、……つまり、気をつけてほしい。僕は学力も高くなければ頭の回転もよい訳ではない、その上変なこだわりも持っている。しかし、思惟だけは放棄していないのだ。これこそがやつらに対する唯一の、そして強力な抵抗である。

最後に、金沢で活動している偽装サークルを知っている限り紹介する。ここで紹介するのはおそらく氷山の一角で、更に上位・下位の母体がありかつ同一の可能性もあるだろう。他にもある、という場合は「お問合せ」から教えていただけると助かります。

なお、金沢Buddhismカレッジ(親鸞会)は異業種交流会以外にも、「アドラー」や「ブッダ」そして「人生」という言葉を用いた数多くのイベントを開いています。

追記(19/05/27):現在、K氏は長期入院して陽子線治療を受けている。だが、依然として抗がん剤には強い抵抗を持っているようで、以後の治療法は自分で判断していくとのことである。K氏にとって標準医療の受け入れは、今までの自分を否定することの他にならない辛い選択であることは容易に想像できる。しかし、将来を見据えるならば(がんを克服するのであれば)、今の自分を捨てる覚悟を持ってほしい。

2019-04-28