作曲・指導・C言語・Linux

金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


17)コンピュータと音楽(1)

前回の記事で「コンピュータ関連の話が多く」と書きました。少し考えてみると、ぼくを構成する要素として、コンピュータがかなりの割合を有しています。これは、子供の頃にコンピュータゲームが好きだったことと無関係ではなく、いわゆる「ゲーム音楽」に多大の影響を受けたからです。というわけで、今回は単なる思い出話です。

子供の頃、家にあったコンピュータはNECのPC-9801RAという機種でした(PC-9801RAはCPUにi386を搭載した32bit機)。それは、ゲームプレイが中心の8bitのホビーパソコンのPC-8801、X1、FM-7といった機器とは一線を画した、まさに仕事・開発用のビジネスパソコンでした。PC-9801RAは、ゲームの音楽を再生するのに必要なFM音源〔※1〕なる娯楽装置はなく、最低装備であるBEEPのみが搭載されていました。つまり、PC-9801で満足に音楽を再生するには、Cバス規格のFM音源拡張ボードを別途購入する必要がありました。(PC-8801はmkIISR〔※2〕以降のマシン全て(?)にFM音源が搭載されていた。)

FM音源なしの状態でゲームをプレイすると、BEEP音による効果音(SE)だけか、完全に無音の状態です。そんな中で日本ファルコムの『イース』や『ソーサリアン』は、BEEP音でメロディーが再生されていました。小学生のぼくは、FM音源の存在など知るはずもなく、BEEP音のみあるいは無音の状態がそのゲームの完全だと思っていました。

中学生の頃になると、FM音源の存在と役割を知り、中古ショップで音源拡張ボードを購入しました。そして、ゲームの音楽がFM音源で再生されたときは、相当な衝撃を受けたことをよく覚えています。当時の僕は、コンピュータゲームと、ファミコン等のコンシュマーゲームとは完全に別物と判断していました。特にコンピュータゲームは比較不可能な環境だったこともあり、音楽の不在に違和感を感じていませんでした。

FM音源の衝撃と感動は人生の中でも一二を争うものでした。というのも、音楽の我慢(ストレス)からの開放ではなく、音楽が存在したことに衝撃を受けたのですから。それまでは視覚のみで知覚していたものに、新たに聴覚が加わるのだから、そりゃすごいものですよ。このときの衝撃と感動が現在の音楽活動にそのまま繋がっているのは間違いありません。もし、自分が10年早く生まれていたら、ゲーム業界に入っていたかもしれません(笑)。

ところで、ゲーム音楽は映画やドラマの音楽よりも下に見られることが多い気がします。ゲーム音楽の最大の特徴は、音色や楽曲ではなく、音楽がノンリニアかつ適宜シームレスに変化するインタラクティブ性が高いところにあると考えています。