作曲・指導・C言語・Linux

金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


294)レインボーセミナーの所感

12月12日。マメサロンにて開催された「レインボーセミナー@金沢大学 あなたの知らないLGBTQ+」に参加してきた。レインボーセミナーでは、LGBTQ+の理解をより深めるため、まずは「LGBTQ+に関する基礎知識」と「石川県におけるLGBTQ+の現状」について講義を受け、その後、3人の当事者から話を聞くグループワークが行われた。

最初に伝えておきたいのは、決して個人の問題ではなくシステム側(=運営)の問題である、ということだ。以下、少し厳しい感想を述べていく。

率直に言って意義の少ない内容だった。というのも、内容と対象(=参加者)が一致していないからだ。今回は、金沢大学生かつ事前申し込みを行ったものが対象である。つまり、その多くはLGBTQ+に興味があり、かつある程度基礎的な知識を有していると考えるのが自然だ。そのような対象に、LGBTQ+を一から説明し、当事者たちの生い立ちを聞かせたとして、得てくれるものは少ないのではないか。あまりに簡易な内容だと批評が難しく、さまざまな差別、そして知識と向き合うことが難しい。

グループワークの質疑応答にも不満が残る。たとえば、誰も質問しないことだ。ここに何をしに来たんだろう、と思ったが、冷静に考えてみるとそうではない。配布資料や基礎知識などでマイクロアグレッションやアウティング、そしてアンコンシャス・バイアスについて気をつけるよう念を押す一方で、その付き合い方については触れてない。つまり、参加者はそれらを恐れるあまり何も発言できなかったのではないか。

そして、これら諸問題はファシリテーター不在のまま個人に頼りすぎた運営にあるように感じる。前述のマイクロアグレッションやアンコンシャスバイアスなどについても運営が一言補足するだけでみなが発言がしやすくなったはずだ。たとえば、グループワークなら、運営は発話者の内容を事前に把握しておき、そこから進捗に合わせて問題を発展させ、新たな疑問・問題を参加者と共に考えるようなワークショップであればよりよい結果に繋がったと思う。

もし、今回のセミナーが、不特定多数が集合する開かれた場所、たとえば駅やショッピングモールで行われたのであれば、この内容でもよかったと思う。LGBTQ+に興味がない人を対象できるからだ。人を呼ぶのか、それとも人がいる所に出向くのかで、セミナーの方向性(一方向なのか双方方向)は大きく変わってくる。しかし、フェミニズムと共闘できる部分に関しては、共闘すればいい、と思っている。そのために必要となるのが理論の構築と理解だ。すなわち、理論武装である。

2023-12-15