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金沢音楽制作

金沢音楽制作では、楽曲・楽譜の制作と、作曲や写譜などレッスンを行っています。


193)カブトムシは知っている

最近になって、歌手のaikoが2000年に発表した《カブトムシ》という曲を知った。というかaikoの曲を一曲も知らなかった。なんでもブルー・ノートがうまい(?)歌手らしい。しかし、ブルー・ノートが上手い、という表現はちょっと分からない。即興でかつ純正調なピッチで歌える、ということを指しているのだろうか。

さて、その出典は、菊地成孔のラジオ番組『菊地成孔の粋な夜電波』のようだ。「菊地成孔 本物のブルースシンガー・aikoを語る」というサイトで文字起こしされている。菊池さんは影響力のある人なので、ラジオでのアドホックな発言が、文字となったことで独り歩きしたんだと思う。まあすこし変わった人なんで本気でそう言ってる可能性もある。

ところで、メロディーにフラット(b)な音が出てきたからといって、それがブルー・ノートである、と言い切るのはなかなか難しい。たとえば、ドミナント7thでは、通常のテンションに加えて、b9、#9(b3)、#11(b5)、b13を、またIM7でも#11(b5)が使われる。そのノートが、ブルー・ノートなのかテンション・ノートか、あるいは全く別のものなのかの判断は、理論よりも文化的な要素が大きいのではないだろうか。

話は変わるが、山下洋輔さんが『ブルー・ノート研究』というタイトルそのままの本を出している。しかし、現在は絶版になっていて、その後『風雲ジャズ帖』(新編、平凡社、2004年)という本に再録されたが、こちらも絶版のようだ。『風雲ジャズ帖』は、入手難易度が低いので、手に入る内に読んでみたい。

2021-12-03