111)規制ではなく関係性を
大きなおわせだ。香川県で、青少年のゲーム規制条例が可決された。これは、18歳未満の子どものネット・ゲーム依存症を防ぐために、「ゲームは平日1日60分まで」「午後10時以降はゲーム禁止」などと、具体的な制限が規程されたものである。立案は大山一郎県議(自民)で、その意義と目的は香川県のサイトで確認することができる。その冒頭を引用したい(2021年12月現在、ページは削除されている。)。
これは、誤謬である。一部の話を全体に適応する「早まった一般化」というものだ。もちろん、そういったケースがないとは言わないが、いくらなんでも早計である。
まず、ゲームによる弊害は、子供に限定するものではないだろう。香川県は、引用文に記したように、「ゲームの過剰な利用」を時間的なものとしているが、そうではない。大切なのは、ゲームとの「関係性」にある。いくらゲームの利用時間が短かったとしても、他人を貶めるといった迷惑行為をしているようでは意味がない。したがって、ゲームをする子供を時間的に規制するのではなく、ゲームとの付き合い方を大人と子供が一緒に学ぶ方法を模索するべきだったのだ。
子どもたちにとって、ゲームは、すでに単なる暇つぶしとは言い切れない存在になっている。たとえば、映画の代替的な娯楽や達成感によるストレス解消といったことだけではなく、新たなコミュニケーションのツールとしての役割を担っているからだ(そのあり方には十分な議論が必要である)。地域によって、公共の場で遊ぶことが難しくなっている昨今、私的空間でコミュニケーションをとれるゲームを規制することは、時代に反しているといえるだろう。1983年にファミコンが登場して、今年で38年目である。大人も少なからずゲームでコミュニケーションをとってきたはずだ。
さて、今回のゲーム規制条例の可決にあたって、パブリックコメントを一部しか公開しなかった件も問題視されている(「反対のご意見等の概要」(pdf))。香川県が募集した、賛否をとるパブリックコメントは、2600件以上が寄せられた。その内、賛成は約2200件の8割超に対して、反対はわずか約300件だ。すなわち、賛成の圧勝ではあるが、そのパブリックコメントは、一部を除き公開されておらず、本件は不透明である、というものだ。
今回、香川県の当条例の可決に関して納得がいかない、と思うのであればそれはとてもよいことである。これは、国会でも同じく見ることができるので、是非とも国会に対しても痛烈に批判してほしい。
2020-03-18