94)コードとモードと快楽
Twitterである美学者(そこそこ有名らしい)が、次のようなことを力説していた。
当然炎上する訳だが、この発言の問題点は、「楽しむこと」と「読解すること」の二つを混同しているところにある。まあ読解が楽しみに先立って存在する、という立場なのだろう、しかし、結局のところそれは教養主義であり、旧態依然な芸術感(特定のエリートのための)となんら変わりない。これを仮定の下に置くならば、教養や思想こそが芸術を証明するものになってしまう。そんなことを認めるわけにはいかない。
コードやモードというのは、構造主義と呼ばれるもので、ある作品を支える構造を明らかにしよう、というものだ。それ自体は面白いものであるが、構造が分かったからといって、それが作品の価値や読みを規定するわけではない。なお、炎上する中で、大物漫画研究者が登場し、前述の発言の擁護をしていたが、何言ってるのかいまいち分からなかった。
2019-10-18