87)PIと音楽理論
プロダクト・アイデンティティ(以下、PI)という言葉を教えてもらった。PIとは、デザイン業界の用語で、大枠のデザインを事前に取り決めておくものだそうだ。このPIを設定しておくと、あるプロダクトに複数のデザイナーが関わっていても大枠のデザインが決定しているため、統一性が取れるというメリットがある。つまり、PIのおかげでデザイナーは才能や労力をディティールにつぎ込むことができるのである。そして、PIの話を聞いて、PIは音楽理論に似ているな、と思った。
音楽理論を、たとえば和声法や対位法、またコード理論などを知っていると知らないのでは、作曲の労力がかなり違うはずだ。音楽理論を知っていると、コード進行を考えたり、形式をどうするか、という悩みが多少は軽減されるからだ(悩みが無くなることはない)。代わりに、音の配置や微妙な響き、といったディティールに力を入れることができるのだ。また、それらの理論に当てはまらない作曲においても、各理論の限界を知っていることがヒントとなるだろう。
しかし、みなが音楽理論を勉強すべきである、などとは全く思っていない。なぜならば、体が必要となる理論をある程度感じ取ってるだろうし、本当に必要になれば、勝手に勉強するからだ。しかし、最近DAWがその勉強の機会を奪っているのではないだろうか、と思うこともいくつかあった。これについてはそのうち書きたい。
2019-09-31