44)文房具へのこだわり(1)
文房具には謎の魅力を感じています。フェティッシュ(呪物)に近いものでしょうか。そんな文房具の中でも「万年筆」と「手帳」には特に強いこだわりをもっています。
近年、万年筆は千円程度の安価なものから子供用のものまで幅広く流通しています(安物でも書き味は万年筆です)。僕は写譜することもあって万年筆はそれなりの本数を所有していますが、文章を書く時はPILOT HEITAGE 912を使っています。MONBLANC MEISTER STUECK 145も持っていますが、値段の割に良くないです。
万年筆の愉しみは、本体だけではなくインク選びにも表れます。万年筆のインクは非常に多彩なラインナップが展開されており、その選択が直感的かつ実験的でなかなかに楽しいのです。また染料インクの特性上、書いている時と書いた跡では色が微妙に異なってくる点も決定を難しくします。ちなみに僕が愛用しているのは、MONBLANC MysteryBlackです。黒だけど黒すぎない所が気に入っています。
ところで、万年筆のキャップには二種類の仕組みがあります。一つは凹凸を作ってはめ込むもの、他方はネジ山を作って回して固定するものです。前者はてこの原理を利用して(押して)開けます。後者は回すだけですが、回すのはキャップではなく本体です。高橋明彦さん曰く、侍が抜刀するイメージとのことです。この行為には本体側を回転させることでインクが動く、つまりインクが固まらないようほぐすことでフローが良くなる効果があるのではと思います(あと、動作が少しかっこいい)。
万年筆は製造上、ペン先(ニブ)にムラがあるので、同製品でも書き味がかなり変わります。だからネットで買うより、店舗で実際に触って買ったほうがより良い品に出会えると思います。
2018-10-11